2005/09/12(月) 選挙のためのンゴマ—ブギリ 

来月の大統領選をひかえ、ドドマで圧倒的な支持をほこる政党・革命党のキャンペーンが、9/9、チャムウィノ村で行われ、近くの村からいろいろなンゴマのグループが集結し演奏を披露しました。

出番を前に、ムササビの毛皮で作った飾り・「ベガ」をつけるムサフィリ=バランガティ。

無料配布されたTシャツやキャップ(どちらにも「革命党を選ぼう!」とコピーが書かれている)を身に着けた参加者らは、太鼓やリンバ、ゼゼなどを弾きながら、今回の選挙のために作られたと思われる革命党をたたえる歌をつぎつぎに歌っています。
生演奏がない間は、タンザニア製のリンガラ=ポップスが流されますが、その歌もやはり、革命党賛歌です。その歌をくちずさみながら激しく踊っている。

こういう風景は、ちょっと日本では想像しにくいところですが、「この政党に勝ってほしい」という想いの強さをメディアとしての役を負っている音楽にのせただけ、と考えると納得がいきます。

国内各地で遊説している大統領候補が会場に到着すると、全グループがそれぞれの曲をばらばらに演奏しはじめました。集まった人たちも帽子を振ったり、ゲレゲレ(舌を細かく震わせて出す、かん高い声)を出したりして大歓迎しています。
候補の演説中にも、話の内容に反応して、日本では拍手が起こるようなところで、ゲレゲレが飛びかっていたのが印象的でした。

ブギリに来て以来、リンバを弾きながら出歩いています。
村に入ってすぐのころは「外国人がリンバを弾いとる!」とやたらに声かけられましたが、さすがにここはリンバの地・ゴゴ民族の地です。最近は気にとめる人がほとんどいない。こちらもへんな気を使わなくていいのでとても楽です。
ここでは誰でも弾けるというわけでは、もちろんありませんが、認知度はとても高い。

道端に座ってぼんやりしていると、たまにですが、リンバの音が近づいてきて、「おや?」なんて思っている間に地元の人があいさつしながら通りすぎていくことがあります。
ハチミツで作った地酒を目当てに飲み屋に行くと、BGMにゴゴ民族の伝統曲がかかっていたり、酔った人が持ってきたリンバ弾き語ったりしています。きのうは気持ちよさそうにゼゼをかき鳴らすおっちゃんがいました。この人たちは飲み屋にやとわれているのではなくて一般のお客さんです。
「この歌いいよね」なんて言いながら、従業員も一緒になって歌いだし(すばらしいハーモニーをつけてくれることが多い)、踊りだす。
つまり、伝統曲であっても、大衆の人気を得た「ポップス」なのです。
楽器用のケースなんてないので、帰りも弾きながら、なんでしょうね。

うーん、たまらん。

カマボコ型の月がのぼったきのうは、懐中電灯なしで歩けました。

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