2005/08/25(木) 演奏家を探して—トゥクユ

「バス停でリンバの弾き語りをしている若者がいた」(宿の従業員)
「昔は弾ける人がたくさんいたけどねえ、最近は見ないねえ」(チャイ屋のおばちゃん)
などなど、聞き取りの結果、最有力と思われる近郊の村・カトゥンバを昨日訪ねました。

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「リンバを弾ける人を探しています」
山合にあって斜面にバナナやとうもろこしなどの畑が広がるこの村を歩き回り、ついにバス停で弾き語っていたという20歳のラファエル=ムワンゴカくんに出会いました。
なんと先週お気に入りのリンバをなくしてしまったそうです。親切にも村の人が持ってきてくれたリンバを「鳴りが悪い」と言いながら弾いてくれました。

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シンプルで内面に向かうような悲しげな音がはねたリズムの上に乗っている。裏側にあけた穴を中指で開閉してワウワウ効果を出していて、さわりの残響と一緒になって生まれるその宇宙的な音に魅了されました。

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今日はラファエルくんが「この人はすごいよ」という演奏家エドウィン=ムワンベンバ氏(51)を訪ねました。農業などの仕事の合間に息抜きとしてリンバを弾いてきたそうです。
ラファエルくんとは雰囲気の違ったのりの曲を弾いてくれました。個人個人の楽しみとして弾き継がれ、アレンジもどんどん加えられていく楽器だけに人によっていろいろな曲があっておもしろい。
歌詞はほとんどニャキュサ語でタイトルの意味を尋ねると、「かわいいあの子」とか「小悪魔な娘」などなど、個人の楽しみっぽい!ラファエルくんにしてもエドウィン氏にしても、か細い裏声で歌っていたのが印象的でした。
もう一人ブリアガという村にムゼー=コサムという名人がいるとの情報を得、訪ねてみると、70歳のムゼー=コサムは病気をしていて最近は全然リンバを弾けないとのこと。彼の楽器を譲リ受けた息子も弾き方までは伝授されていないようでした。
コサム夫人いわく、「近頃は年寄りが伝統を伝えなくなった」そうです。
このままコサム流のリンバは消滅してしまうのでしょうか?

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これはエドウィン氏が見せてくれた楽器・キサンゴです。今は誰も弾く人がおらず、弦も切れたまま。この地のリンバのキーの数と同じく、弦の数が7本というところが興味深いところです。

トゥクユは高地にあるので、朝晩とても冷え込みます。朝ベッドから抜け出るのに時間がかかる。お湯を沸かしてもらって体をあっためます。

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