2005/08/30(火) 驚異の太鼓試合!—トゥクユ

8/27、イセベという村でイゴマというンゴマがあるというので山道を3時間歩いて見に行きました。
3時間というと迫力がありますが、小川が流れ、色とりどりの花が咲き乱れる眺めのよいところを歩いて行くのはとても楽しい。バナナ畑の上を風が吹きぬけるときの “ ガサガサ ” した音もハイキング気分にぴったりと染み込みます。日本の竹林の音とは明らかに違うんだけれど、なんだか思い出してしまいます。

イセベ村のイゴマはお昼の2時ごろから始まりました。トゥクユの各地からやってきた3つのグループが競うマシンダノです。柵で囲まれたステージの中に1グループずつ入場して演奏する、これを何度も繰り返していきます。
どのグループも杖を持った年長のリーダーを先頭に、ダンサーや太鼓打ちが柵を取り囲んだ観客に向かってアピールしていく。ばちで打つ「ペレケテ」という小太鼓の一定のリズムに乗せて、催しの名前と同じ「イゴマ」という大太鼓がダンスとシンクロさせたフレーズを繰り出していきます。

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ひょうたんで作ったティナラという楽器です。一方にブイブイ(蜘蛛の卵膜でリンバのさわりにも使われる)を貼ってあります。カズーと同じでいくら吹いても音は出ず、声を出して歌って初めて音が出ます。イゴマとペレケテの緊迫した音の中で、結構気の抜けたゆるい音が二人の奏者によって途切れなく保たれています。

大太鼓に小太鼓、そしてラッパ(みたいなもの)。
このイゴマは、イギリスやドイツの軍隊が持ち込んだ軍楽の影響を受けたものという説が一般的です。ウサレという別の村で聞いた話では、ティナラはトランペットをまねて作った楽器で、イゴマ自体昔は「ンゴマ ウラヤ」(ヨーロッパのンゴマ)と呼ばれていたそうです。
さてさて、イセベ村のマシンダノは回を重ねるに連れてだんだん盛り上がっていきます。7回目の入場の時、3グループとも衣装替えが行われました。白を基調にした服装、でリーダーは・・・

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でた!スーツのマシンダノ!

衣装替え以降さらに戦いは熱を帯び、前のグループの演奏が終わる前から囲いの外では次のグループが演奏し始め、追い出すように入場するようになります。
イゴマとダンスがぴったりと決まると歓声、ゲレゲレ、怒号、いろんなものが飛びかう。柵はいつの間にか壊され、誰が演奏者かダンサーか観客か、分からないような状況になってきます。

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日没後8回目、3グループが入り乱れ観客と共にクライマックスを迎えたのでした。
このイゴマは7月から11月にかけてトゥクユ地方の各地を巡って開催されるとのことです。

これ以外の日は相変わらず近郊の村をリンバの演奏者を探して歩き回りました。弾ける人が亡くなったとか、楽器がどこかに行っちゃった(なくしても作ろうとはしない)とか、そんな話ばかり聞く中で、お父さんが使っていたというリンバを見せてくれた青年に出会いました。
ちょっとだけ弾ける。
研究者としては、自分が村に入ることによる村へのインパクトは最小限に抑えるべきなのでしょう。そしてなくなるのが定めであれば、それは放っておくべきかもしれません。しかし、「演奏できる人が少なくなってきたから弾き継いで行ってね」と思わず声をかけました。
別の村ではキサンゴを売りたいという人に出会いました。先日エドウィン氏が見せてくれた物と同じ7弦の楽器で弦も張ってある。さわりを出すための巧みな工夫もほどこしてあるいい楽器。
この村に一つしかないそのキサンゴを、ここの物価で考えても安すぎる値段で買ってくれというのです。。。
彼はなくなったおじいさんがキサンゴを弾く姿を見たことがあるだけで、楽器を作ったり、演奏することはほとんど出来ません。実は一つ欲しくて探していたのですが、ぼくが持ち帰ったらキサンゴがこの村からも消滅することは間違いなく、やっぱり事情を説明し、「自分で演奏法を考えて弾き継いでいって」と言い残しました。

村を回っていてとてもおもしろいものを見つけたので紹介します。

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これはなんだと思いますか?薪かな?

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こうやって組み合わせると、、、

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ゴロゴンドという木琴です。存在は知っていたのですが、1枚目の写真の状態を見て楽器になるとは思いませんでした。

8/31、次はドドマに向けて出発する予定です。。

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