2006/02/21(火) リンバと出会った話
初めて手にしたリンバ。うしろはフクウェ ザウォセが中心となったバガモヨ芸術大学のメンバーによるLP・"TANZANIA YETU"(ⓒBagamoyo College of Arts, 1985 /ⓟTRIPLE EARTH RECORDS, タイトルは「俺たちのタンザニア」の意)
函館のきっちゃんさんからリクエストをいただきましたので、リンバとの出会いについて書きます。
大学浪人時代、19歳のときに、世界民族音楽全集的なシリーズものを聴いていて、その中に不思議な音が入っていました。
大型の擦弦楽器・イゼゼの弾き語り、と解説で知りましたが、当時はその楽器の形も想像がつかず、いったいどうやってこの音をひとりで出しているんだろうと、考えたものです。
そしてその声。
「イェヘー」と長く引き伸ばしてから、早口でしゃべるように歌う。
ときおり入る、蝉の鳴き声のような音も、「チッチッ」というパーカッシブな音も、甲高い叫び声も本人の口から出ているらしい。
このとき初めて、タンザニアのフクウェ ザウォセを知りました。
その全集の中には、他のミュージシャンによるリンバやムビラの弾き語りが収録されていたのですが、
一番衝撃を受けたのがザウォセの音だったのです。
アフリカのことやスワヒリ語を学べる大学に進学して、3年目。
休学してアジアからアフリカを目指す旅に出ました。
ナイロビ(ケニア)で迎えた21歳の誕生日、同宿だった人から、プレゼントに小さなリンバをもらいました。
それが最初のリンバです。
持ち運びに便利な上、適当にキーを弾いてもいい音が出る。
その後、あちらこちらの旅に連れていくことになりました。
翌年も休学して、今度はニュージーランドへ。
通りで演奏したり、カフェなどで定期的に開かれているジャムセッションにリンバやギターを持って乱入していたころです。
「カリンバ」を演奏するイギリス人のミュージシャンの演奏を聴き、話をする機会がありました。
ぼくが持ち歩いていたリンバを見せると、
「すてきな音ね。けど、このジージーというノイズはいらないわね」と。
・・・・・・音に対する好みは様々です。
そのころ、図書館のCD貸し出しコーナーを覗いていたら、日本語でタイトルが書かれたCDが眼に飛び込んできました。
「驚異のイリンバ・アンサンブル タンザニア フクウェ・ザウォセの世界」(ビクター エンターテイメント)。
「これは、あの人じゃないか!」と借りて帰り、聴くとすーっと心にしみ込んでくる。
全集で聴いたイゼゼの弾き語りの衝撃とも少し違う強い説得力があります。
リンバとともに生きてきた人間の出す音。ブーンとうねるサワリの音。繰り返されるフレーズ。音渦。
そのときは知るはずもありませんが、ディクソン ムクワマやルベレジェ チウテという二人の最高の相方とともに音楽を奏でる、絶頂期のフクウェ ザウォセの音を聴くことができたのです。
同じアルバムを朝が来るまで、繰り返し聴くうちに、「ザウォセに弟子入りしよう」と決めたのでした。