2007/04/20(金) トルコの電気サズ

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マラウィで会ったカンダウェコじいさん、カリンバを弾いてみた。

帰国してからというもの、ライブは大阪での帰国報告ライブと東京や京都でのイベント出演のみだったので、もっぱら曲作り、資料整理、原稿書き、バンドの練習という具合に、ほとんど閉じこもっていました。

そんななか、以前からファンだったトルコのおじさん二人組み、ババズーラの来日公演があったので東京、渋谷まで聴きに出かけました。
トルコではけっこう前から、伝統的な弦鳴楽器、サズにピック・アップを取り付けた、いわば、エレキ・サズが一般的に流通しているらしい、とは聞いていたのですが、ババズーラは、そのエレキ・サズを中心にした音をダブ的なアプローチで聴かせる人たちなのです。

UKダブ界の重鎮、マッド・プロフェッサーのミックスによるアルバムでかなり凝った世界を作り上げてたので、ライブではどうなるのか、とても楽しみにしていたのでした。
チープな打ち込みトラックの上で、大迫力のサズがシンプルな旋律を作っていき、たまに声が乗る。
ライブならではのシンプルさが、思った以上に、おバカな感じでとてもよかった。
共演したベリーダンサーのNourahさん、タカダ アキコさんの二人がまた素晴らしかった。
日本ではやっているアメリカ経由で入ってきたベリーダンスともまた違う、独自性を相当高めたトーキョーのアングラを経由しないと生まれないようなダンスで、多いに刺激を受けました。

彼らの歓送迎会にも参加させていたただきました。
ベーシストがいない(打ち込みにもプログラムされていない)のに、すごい低音のメロディーが鳴っていたことについて、サズ担当のムラートさんに聞いたら、予想どおりオクターバー(1オクターブ上か下かの音程を加えることのできるエフェクター)を使っているとのことでした。
ほかにもぼくと共通する機材(品番まで同じ)を使っていて、民族楽器でちょっと正当からはずれるようなことをする人は、概して同じとこを通るらしいと、考えた次第でした。

※ババズーラも出演している、トルコ音楽の今を追ったドキュメンタリー映画「クロッシング・ザ・ブリッジ」はまだ公開しているところもありますよ。

タンザニアに一人残って修行を続けていた弟子のマルちゃんが帰ってきたのでキャンプに出かけました。
霊を呼ぶ儀礼、ムヘーポで使うリンバを持ち帰ってきていて、焚き火を前に合奏したのですが、これがまた楽しかった。
想像もできないような奇妙な倍音がサイケデリックな音響を生み、これぞまさに電気レス・ダブ。

至近距離にいる数人と弾いている本人たちが一番気持ちいいのですが、コンサート会場では上等のマイクを使っても、そのまま拾う限りこの音は拡大できないのです。
サイケな部分が消えて、お行儀のいい「アフリカー大地の響きー民族音楽コンサート」的な音にしかならない。リアルさがなくなる。
だからいろいろ、連日機材と格闘しています。

リンバ・トレイン・サウンド・システムのエンジニア、カツシンが親指ピアノ用にプリ・アンプ(簡単に言うと音をスピーカーなどに通す前に音の信号を大きくする機械)を2台試作してくれました。
このうちの1台がぴったりと合ったのでまた新たな展開が見えてきそうです。

そんなこんなで、九州ツアーが始まりました。
今夜が初日です。
福岡県行橋市にて記す。

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ババズーラ来日公演の翌日(4/5)文化放送スタジオにて。右はサラーム海上さん。

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