2005/10/12(水) 2005年10月12日(水)生の音
「東アフリカの音楽をめぐる旅」全国ツアーが続く中、先月タンザニアで体験してきた憑依儀礼・ムヘポの音楽を再現しようと、各地の会場で試みています。
太鼓やサックスなど音の大きな楽器とセッションすることが多いので、ハウリングなどの問題を避けるためにピック=アップ=マイク等を使ってリンバの音を増幅していますが、ムヘポを紹介するときには本来の音を届けるために音響設備には頼らず演奏しています。
関東の大学生グループ・"TUNAPENDA AFRICA"が主催してくれた東京公演(10/8)でも、「生のリンバの音が聞こえるだろうか」と心配になるくらい満員になった会場に、カヤンバを振る大西匡哉とともに飛び込んでいきました。
リンバやカヤンバの単純な反復フレーズの上に、ゴゴ語で「鳥が飛びまわっている。鳥が飛びまわっている」とただただ繰り返す意味深でシンプル極まりない歌をのせてゆく。
お客さんの頭の上にリンバをかざすなど、楽器を構える位置も変化させて弾いているうちに演奏者する我々の気分も高揚してきます。
使っている楽器は、ムヘポを見せてくれたブギリ村のバラガティじいさんが作ったもので、恐ろしいくらい良く響くだけでなく、おだやかな人の気分にさざなみを起こすような、ひっかかりのある倍音を出します。
さらに楽器の本体の中に収められている、木の実や薬を入れた包み(共鳴体の中に、石ころや木の実などを楽器の心臓の象徴として入れる楽器はアジアやヨーロッパにもある)が転がってたてる、ガラガラした音まで聞こえてくるのです。
こういう音は、最新の音響設備を使っても、おそらくその大部分が潰れてしまうでしょう。
また、録音であれ生演奏であれ日本ではほとんどの人がスピーカー越しの音楽しか聴いていない、という事実を考えてみても、生音の企画は大事に続けていきたいと思っています。
※ムヘポについての現地レポートはこちらで読むことができます。
10/8の東京公演のあと、新大久保の会場から国分寺で開かれたタブ=ザウォセの公演にかけつけることができました。
来日直前にマラリアにかかったとかでやせていましたが元気にすばらしい歌や演奏を披露していましたよ。
左から、大西匡哉・ぼく・タブ・山田ちほ(サカキマンゴーの妹分。タンザニアで2年働き、CHIBITEとの親交も深い。)・近藤ヒロミ・早川千晶 カフェスローにて。
長野県高遠町にて記す。