2005/04/22(金) 2005年4月22日(金)川原でリンバを 

 キャンプをして焚き火するのが好きです。
 96年、長旅のはじめにバンコクの古本屋で見つけた、野田知佑の「日本の川を旅する」を読んでその世界の虜になったのが一つの原因だ、と自分で思っています。バックパッカーの集まるナイロビの安宿に「テント求む」と張り紙を出して、安くでゆずってもらい、初めてのアフリカの旅をはじめました。
 ジンバブエのチマニマニ国立公園には、テントと食料をもって入ることができるのですが(今はどうなんでしょう)、そこで過ごした数日は忘れません。朝から野山を歩き回り、暑くなると、素っ裸で滝つぼに飛び込む。モザンビークとの国境をなす山脈にむかってギターを弾いて大声で歌う。陽が傾きかけると、好きな場所にテントを張る。薄い布越しに外の気配を感じながら眠りにつく幸せ。誰にも会わない(誰とも話さない)で山と川だけ眺める日が続くと、独特のハイな状態になってくる、ということを身をもって知りました。
 そのテントはアフリカを旅してまわって、またナイロビに帰ってきたときに売りましたが、97年にニュージーランドのダニーデンという街で買ったテントは今も現役です。山奥や無人島、川原など、組み立てたところは即別荘地になります。
 街で酒を飲むのも家で飲むのも好きですが、焚き火で適当なつまみをつくりながら飲む酒が一番うまい。燃えている火を、「鑑賞する」というかじっくりと眺める機会というのはこのときぐらいなものです。焚きつけに火を移してから、次第に大きくなってくる火。「バンッ」という何かがはじける音。安定してからも無限に形を変えていく炎。おき火になってからも生き物のように周期的に赤くなる光の粒。木目にそって細い雷のように走っていく線。「チッチッ」と金属のような音も聞こえてくる。夜露で火が消えそうになるまでながめている間に、今まで考えなかったようなことに頭が向かいます。
 「この世界は満ちた、これで十分」、という気分になっていても、自分も参加しようと楽器を弾いてしまうのは人間の性でしょうか。
 
 ここ数年は、家から近いところだと、滋賀県朽木村と京都府美山町に見つけたところに通っています。
人の気配を感じない素晴らしい川原があるのです。
 これは4月14日と15日に行ってきた美山の川原で撮った写真です。
 
川原でリンバ
 

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