2005/06/20(月) 2005年6月20日(月)飯田でのライブ
ナイロビでライターとして活躍中の早川千晶さんと、ケニアのドゥルマ民族の太鼓・センゲーニャを修行中の盟友・大西匡哉(まさや)とともに、ツアーに出ています。千晶さんがマサイやドゥルマ、ゴゴなどの民族の生活や音楽を最新の取材によるスライドで紹介し、匡哉とぼくがライブ演奏する。題して、東アフリカの音楽をめぐる旅。楽器・音響機器・映写機・スクリーン・売り物のCDや本・出演者3名を満載した軽自動車が、ツアー初日の神戸を出発して10日がたちました。長野県の飯田公演(6/18)の模様を報告します。
会場のRasta Ranpuyaには1時すぎに到着して早々とリハーサルを済ませると、開演までだいぶ時間があります。お店のマスター・佐々木さんの御好意に甘えて温泉につかって食事をし、何もしていないのにひと仕事終えたような顔で「オツカレサマー」などと言いそうになるのをこらえているとお客さんが集まって来ました。佐々木さん・千晶さんの共通の旅仲間も関東や関西から集結し、カウンターとイスだけの店内に信じられない人数を収容すると開演です。
千晶さんによるマサイ民族の写真や音楽の紹介を、お店から溢れ出た人たちとともに開け放ったドアの外から見る。草原の緑に映えるマサイがまとう赤い布。店内につぎつぎに映し出される映像に、通りすがりの人も足をとめて見入っています。毎日、ほぼ同じ内容で公演しているけれど、来場者の顔を見てトークのアレンジがその場でが変わっていきます。
後半は匡哉とぼくのコンサート。ツアーの性格上、丹念に楽器やリズムの解説などもするケースが多いのですが、この日は、踊りたくてうずうずしているお客さんのバイブレーションを感じて、言葉を使った解説は簡単にすませ、音を出す。匡哉がケニアで修行しているドゥルマ民族の太鼓は打音に比べて音程がかなりはっきり出る、めずらしい太鼓です。偶然なのですが、並べられた五つの太鼓が生み出す音階はゴゴ民族のリンバと同じもので、しかもぼくが主に使う楽器とキーも同じ。メロディーをユニゾンでなぞることもできるのです。ケニアの太鼓とタンザニアのリンバ、同じアフリカの楽器とはいえ、日本の尺八と韓国のカヤグムなみに異なって当然の楽器同士の共通点を生かした、アフリカでもありえないセッションです。
お互いにさまざまなフレーズを提示しあい、挑発しあい、緊張を高める部分と緩める部分をつくっていく。ジャングル(ジェンベ)とりょうちゃん(和太鼓)、地元から二人のゲストを呼び込むと、お客さんの興奮も高まり、歓声は通りにまで響き渡ります。匡哉がゲストのフレーズに即応してカウンターを打ちこんだり、ぼくはリンバを置いて踊りだす。こうして3時間にわたった公演は終了したのでした。
大歓待をしてくれた佐々木さんをはじめ、これまでのツアーでお世話になったみなさん、そして来場してくれたみなさん、どうもありがとうございました。
浜松にて。これからフェリーに乗って仙台に向かいます。
ツアー車はこんなです。左が千晶さん・右が匡哉。